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橋本匠護のコラム
二次的な陣痛微弱

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2024年11月9日

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今回のコラムは難産についてです。難産の原因は様々で、産道が狭い、過大子、子宮捻転、胎子失位、双子(多胎)、奇形胎子などです。そして遭遇率が高いのが「陣痛微弱」です。

陣痛微弱の原因として母牛の低カルシウム、エネルギー不足、タンパク不足などが知られていますが、分娩時間の延長も二次的な陣痛微弱を引き起こします。これは分娩時間が延長すると、子宮を収縮するホルモン(オキシトシン)が枯渇したり分泌不全となったりするためです。また母牛自身も疲労こんぱいになってしまいます。初産牛や神経質な母牛は、もともと分娩時間が延長しやすいため要注意です。

栄養性の陣痛微弱が疑われるのであれば、血液検査を実施して母牛の状態を確認してみることをおすすめします。不足している栄養素が分かれば、給餌内容を変更してみても良いかもしれません。実際に分娩前後の増飼を見直して、陣痛微弱が減ったという話もあります。

また神経質な母牛は近くに人がいると分娩に集中できずに分娩時間が延長することがあります。対策として分娩監視カメラを使うと良いと思います。農家さんによっては、専用のものではなく防犯用のカメラを使われている方もいらっしゃいます。もし分娩時間が延長しており陣痛間隔も長くなっているようであれば、分娩介助も検討しましょう。一方で早すぎる介助も、逆に母子の負担になることがあります。不安な際は、一度獣医師に相談しましょう!


↑分娩介助は早すぎても遅すぎてもNG
 
 
今週の動画
解剖学的異常による繁殖障害

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