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松本大策のコラム
(番外編)今年もカビの季節になりました

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2012年6月11日

 今年も梅雨から夏場の「カビ」の季節になりました。カビの被害というと、「カビ毒」がすぐ頭に浮かびますが、「カビそのもの」が牛さんに生えて起こる病気も忘れてはなりません。

 うちは肉用牛の診療所ですが、乳牛の場合、カビが原因で起こる乳房炎がありますし、肉用牛でも、カビが肺に生える「真菌性肺炎」というものもあります。

 それから最近増えてきているのが、「アスペルギルス・フミガダス」というカビが、牛さんの腸に生えてしまうことで起こる「牛出血性腸症候群」というものです。

 この病気は、血便の原因の2番目か3番目に多いものとも言われています。ここでなぜ「カビ毒じゃなくてカビが生えるのが原因だよ!」ということを強調しているかというと、1:カビ毒ではないので、カビ毒吸着剤の効果が期待しづらい、2:牛さんに生えたカビをやっつける薬を獣医さんは使えない(皮膚の真菌症(白癬)は別ですよ)、からです。

 「カビ毒吸着剤を使ってるから安心」とばかりに、カビの生えた飼料を無頓着に与えていると、カビ自体が牛さんに生えて取り返しのつかない病気になることもあるということをしっかり肝に銘じて、極力カビの生えた飼料を避けるように心がけましょうね。
 

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