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生産性を阻害する要因(病気)を抑える(8-6) |
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2012年6月4日
- 第8章 下痢について考える その6- 子牛にはバイコックスをお勧めするわけ
シェパードでは、繁殖農家さんの子牛でコクシジウムの防除をするときは、出来るだけバイコックス(バイエル社)を使うことをお勧めしています。
別に裏金なんかいただいてませんよ(笑)。ときどきそういう疑いを持つ方がいらっしゃいますが、うちは、これでも技術屋の集まりなので、自分の信用を無くすようなことはしません。
コクシジウムの防除というと、サルファ剤(ダイメトンやジメトキシン、エクテシン液など)が一般的なのですが、これらの薬剤は、コクシジウムが牛さんの身体の中にいるときの、一時期しか効果がないのです。=0D=0A コクシジウムは、オーシストという「卵形」みたいな形で感染牛から排泄されます。
これが牛さんに食べられて、小腸と大腸で二回サナギを作って雄・雌の大人になります。この、雄と雌ががったいして新しいオーシストになるのです。
サルファ剤は、この小腸と大腸にいる間しか効果がないのです。もちろん新しいオーシストが口から入って来なければ、いずれは親虫(ガメートと呼びます)は全て雌雄合体してオーシストとして排泄されますから、時間はかかりますがコクシジウムにはサルファ剤を使うのです。
ただ、子牛は弱いので、この期間に下痢や軟便が続くと痩せてしまったり、免疫が低下したりしやすく、生産性を著しく阻害することがあるのです。
バイコックスは、一回の経口投与で、牛さんの身体中にいる「すべての時期のコクシジウムを4週間程度駆除出来る」のです。
この期間もコクシジウムの感染は続きます。感染防御能はないのです。但し感染したコクシジウムは全て殺滅してくれます。
ここがミソで、感染しても発症しない期間が4週間もあるのでその間に子牛がコクシジウムに対する免疫を持つことが出来るのです。
いくつもの農場で効果を実感しています。
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