(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
橋本匠護のコラム
母乳性白痢に要注意

コラム一覧に戻る

2024年10月19日

****************************************
2025年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)、栃木支所(栃木県那須塩原市)ともに獣医師を募集しております。
詳細はこちらをご覧ください。
随時実習も受け入れております(5年生以上対象)。
****************************************
 
最近は日中の寒暖差が激しいためか、下痢をする牛がちらほら・・・。今回は下痢の中でも哺乳子牛で多い「母乳性白痢」についてのコラムになります。

母乳性白痢は、その名の通り母乳が原因で発生する白っぽい下痢です。白っぽい色をしているのは、母乳中に含まれる脂肪などが未消化で出てきているためです。では、どういった母乳が消化しづらいのでしょうか。

母乳の品質(乳質)に注目すると、アルコール不安定乳と呼ばれるものは消化不良を引き起こしやすいとされています。アルコール不安定乳の原因については未だに分かっていない部分もあるのですが、母牛の栄養状態やルーメン環境の乱れが関与しているという報告があります。


↑アルコールテストで凝集した母乳、これがアルコール不安定乳!

母乳性白痢を予防するためには、子牛への下痢対策と併せて母牛への対策を行うと良いです。分娩前後は子牛の発育や泌乳にエネルギーを使う分、母牛はエネルギー不足になりやすいです。このような栄養状態では乳質の悪化を招く可能性があるため、分娩前後の十分な増飼が白痢予防に有効です。この時、蛋白過剰などになってもいけないので、給餌内容を変更する際は獣医師に相談することをおすすめします。

分娩前後の母牛の栄養状態は、その後の繁殖性にも影響をあたえます。そのため子牛の白痢だけでなく、初回授精日数の遅延や受胎率の低下がみられる場合も母牛の栄養状態を一度チェックしてみても良いかもしれません!
 
今週の動画
休薬期間とDayゼロについて

|