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戸田克樹のコラム
第460話「病気は外から持ち込まれる③」

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2024年10月10日

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導入牛に対して防疫期間を設定することで、流行性疾患の拡大を防げるようになります。しかし、これだけでは不十分です。より大切なのは作業動線の確認です。とくに哺乳期子牛への接し方が大切なので、それを例に挙げて考えてみましょう。

ポイントは「牛に触る順番」。徹底していただきたいのは「外部導入は最後に回す」という管理方法です。ハッチ管理においては、ミルクを与える、エサを配る、治療をする、などのように牛や牛が接触したもの(バケツなど)に触る機会は毎日必ず訪れます。そのたびに管理者の手や体には牛の涎や鼻水などの体液が付着する可能性があります。それにもし無数の病原体が含まれていると、管理者が何かを触るたびに病原体を牛舎内に広げていくことになります。手袋をつけて作業をしていても、その手袋が汚染されていれば意味がありませんよね。1頭触るごとに手袋を交換するのは現実的には難しいので、消毒用のスプレーを持ち歩いて何かに触る度に消毒することを徹底している牧場もあります。それでも感染の拡大を完全に防ぐことは難しいものがあります。外部から病原体が持ち込まれることを考えると、導入牛から順番に世話をしていく管理方法では、その牛が何らかの病原体をもっていたときに次々に感染させてしまう危険性があります。そのため、順番としてはまず在籍牛から世話をして最後に新規導入牛を触る、という動線が正解です。もし導入牛を先に触ってしまったら、手袋を処分したり洋服を替えたりするなどしてクリーンな状態になってから在籍牛を触る、といった対応をとると手や体に付着したかもしれない病原体を広げるリスクは大きく下がります。

 
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