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藤﨑ひな子のコラム
Calf care standards continue to climb ~子牛管理基準の進歩①~

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2024年10月4日

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 10月になり朝晩と日中の寒暖差が激しくなってきましたね。風邪をひかないように気を付けたいところです。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

 本日から3回に分けて、最近読んだ海外雑誌の記事についてお話ししようと思います。
 今回ご紹介するのは、Hoard’s Dairyman の2024.8.20の記事で、「Calf care standards continue to climb」です。

 記事では、35年にわたり子牛の栄養と成長についてイリノイ大学で研究している著者が、大きな変化としてどのようなものがあったか、について述べています。子牛の栄養と管理に関する研究は、この25年で爆発的に増加しており、子牛に対する関心が高まっているとのことでした。筆者は、子牛の栄養と成長についての大きな変化として、

① ミルクの給与量が増えた
② 成長率が向上した
③ 行動を観察するようになった
の3つをあげています。

今回は①についてお話します
① ミルクの給与量が増えた
 従来の代用乳の給与量は1ポンド(約450g)もしくは1.25ポンド(約600g)でしたが、現在はより栄養価の高い代用乳をその2倍(2~2.5ポンド)と変化しており、これは「自然」な哺乳レベルに近い量です。2021年に公表されたアメリカのNASEM(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)の新たなガイドラインでは、給与する乳固形分の最小量は出生時体重の1.5%と規定されており、これは体重44kgのホルスタイン(雄)の場合、乳固形分で約640g、全乳で5kg以上となります。多くの農場ではこの最小量よりも多くのミルクを給与しているようです。
 初乳の研究は過去25年間で活発になっており、免疫や栄養、成長促進物質や健康促進物質の給与における重要な役割が強調されています。また、初乳の質が良くなるにつれ死亡率や罹患率が低下することが示されています。

 次回のコラムでは、②成長率の向上についてお話します。
 
 
今週の動画
動物ごとの胎盤

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