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暑熱11 ~まとめ~ |
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2024年9月27日
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9月も終わりに近づき、やっと少しずつ日中の気温も落ち着いてきたところでしょうか。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
10回にわたり暑熱についてお話してきました。今回はこれまでの総括となります。
暑熱ストレスは牛の健康と生産性に大きな影響を与えます。牛は恒温動物であり、暑熱下では呼吸数の増加や発汗が促進され、体内で活性酸素種(ROS)が増加し、酸化ストレスが高まります。これにより特に子牛では、腸のバリア機能が損なわれる「リーキーガット」が発生し、栄養の吸収が阻害され、下痢や炎症、生産性低下が引き起こされるのです。
リーキーガットは、暑熱ストレスや慢性炎症によって腸管が脆弱化し、腸内毒素が体内に侵入して全身に悪影響を及ぼします。それらの対策として亜鉛やナイアシン、抗酸化ビタミン、グリセリン、ベタインなどの補給が有効で、これらは腸管の機能を保ち、酸化ストレスを軽減します。
また、暑熱は妊娠牛や胎児にも影響し、生まれた子牛に体重減少や皮膚・毛の成長障害を引き起こす可能性があります。そのため暑熱ストレスは牛個体の健康と生産性だけでなく、次世代へも影響を与える可能性があるのです。
今年ももうすぐ夏が終わろうとしていますが、来年のこの時期に少しでもこの記事がお役に立てればと思います。
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逆膝の治癒経過
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