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暑熱9 ~胎子への影響①~ |
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2024年9月13日
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今週も変わらず暑かったですね。阿久根は今月中旬まで30℃越えが続くようです。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
前回までのコラムで、暑熱によってウシにどのような影響がでるか、暑熱対策、近年の気温についてお話してきました。
今回からのコラムでは、暑熱がその後も長期にわたってウシに影響を与える可能性があることについてお話ししようと思います。
最近の研究には、暑熱はストレスを受けているその牛だけでなく、妊娠牛の場合は胎児にも影響を与え、胎児では出生後もその影響が持続するという報告があります。今回からのコラムでは、
① 出生体重に対する暑熱ストレスの影響
② 出生子牛の皮膚や毛に対する暑熱ストレスの影響
の2つについてお話していきます。
① 出生体重に対する暑熱ストレスの影響
この研究はドイツで行われました。171,221 頭のホルスタイン牛を供試し、子牛の出生時体重に対する暑熱ストレスの影響を評価しました。妊娠牛が妊娠後期 8 週間に暑熱ストレス下にあった場合、子牛の出生体重が影響を受けるかを調べました。出生前の暑熱ストレス(毎日の温湿度指数(THI)を測定)は、子牛1頭当たり0.66~1.38ポンド(1ポンド=0.45kg)の範囲で子牛の出生体重を減少させました。著者はこの出生時体重の減少は、遺伝ではなく母体の永続的な環境影響によるものである可能性が高いと結論づけています。このことから、暑さ耐性に関する遺伝的評価を行うよりも、妊娠牛の暑熱対策を行うことの方が胎児の成長を守る上でより重要であると述べています。
つまり、この研究より母親が受けた暑熱ストレスが出生体重の減少として子牛に影響を与えることが示されました。このため、妊娠牛の暑熱対策を行うことは、生まれてくる子牛のためにもなるのです。
次回は、②出生子牛の皮膚や毛に対する暑熱ストレスの影響についてお話します。
今週の動画
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