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第456話「抗生剤って何がいいの?⑧」 |
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2024年9月12日
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抗生剤の効果は基本的にその日のうちになくなります。そのため、翌日にまた投薬する必要がでてきます(休薬期間というものがありますが、それは組織から検出されないレベルにまで薬剤がなくなるまでの期間のことであり、決して薬剤が効果を発揮できる期間ではありません)。中耳炎や肺炎など、長期治療が必要な疾病においては毎日投薬するというのは結構大変ですよね。注射を準備して、捕まえて、保定して・・・これが何頭もいると時間もかなりかかってしまいます。
治療頭数が多い場合は添加できる抗生剤も検討してみてはどうでしょうか。アンピシリン散やCTC散といった粉末タイプの抗生剤が牛用のものとして販売されています。食欲があることが前提ですが、添加により作業時間は大幅に短縮できます。ただし、使用には注意が必要です。哺乳期や隔離牛など1頭ずつ与えることができる環境では適切な量を給与できるのですが、群であればよく食べる個体とそうでない個体で薬剤の摂取量が異なるケースが生じます。こうなると、必要な個体に必要な量が届かないことがあるかもしれません。また、抗生剤と接触する個体が多ければ多いほど耐性菌発生のリスクも上がります。添加タイプの抗生剤は日常的に活用するよりは必要最低限にとどめておく方が無難といえます。
また、最近は効果が数日続く「ロングアクティブ」型の抗生剤も販売されています。こうした薬剤の活用により「1回打って数日後に再チェック」というやり方で治療を行うことができるようになりました。こうすると、注射を打つ頭数を減らすことができますし、何日も皮下注や筋注を続けることで起こりやすい注射痕の発生を少なくすることもできます。
投与後も牛の状態をよく観察することは大切ですし、可能であれば検温などのチェックも実施してほしいのですが、添加剤やロングアクティブ型の抗生剤の使用で治療にかかる時間や労力は少なくすることができるのではないでしょうか。
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