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橋本匠護のコラム
除角後の化膿について

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2024年9月7日

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前回のコラムは除角直後から起こる「除角ストレス」についてでしたが、今回は除角後しばらくしてから問題となる「化膿」や「角のくいこみ」についてです。これらの問題に対する対策について、具体的な事例も交えて紹介します。

まずは除角後の化膿についてです。感染により除角部分が化膿するケースは珍しくなく、多くは数日の治療で改善します。一方で角の奥の前頭洞まで炎症(前頭洞炎)が広がると、治療が長引くことがあります。前頭洞については過去のコラムで紹介されていますので、ぜひご覧ください。また除角に限った話ではないですが、除角部分に感染した細菌が血流に乗って体内の他の部位に広がると深刻な症状を引き起こすことがあります。こうなると、治療が非常に難しくなる場合もあります・・・。


↑この穴は前頭洞という空洞につながっています

このような問題を防ぐためには、除角時期が重要です。牛は生後6ヵ月を過ぎると、角に前頭洞から空洞が伸び始めます。つまり若い時期に除角すれば切断面に穴ができにくくなり、前頭洞炎になるリスクを押さえることができます。また季節も重要で、ハエなどの多い夏季の除角は避けるのが細菌感染予防の面で望ましいとされています。

除角時の消毒、止血の徹底も有効です。消毒は牛伝染性リンパ腫(旧病名:牛白血病)伝播防止も兼ねて、逆性石鹸などを用いると良いです。除角後30~60分は出血の状態を、その後2週間程は除角部位が化膿していないかを確認します。気になった際は、すぐに獣医師に相談しましょう!

除角の数年後に問題となることがあるのが、不均一な角の成長による「角の食い込み」です。適切な角度をつけて除角をすることで角は曲線を描くように成長し、牛や人にとって安全で管理しやすい状態にすることが出来ます。しかし切断長や角度によっては、除角後にこめかみや首に食い込むように成長することがあります。こうなってしまうと二度目の除角が必要になってしまいます。

このような牛が目立つようであれば、除角時の切断長や角度を見直しても良いかもしれません。また角度をつけずに、平行に除角するのも一つの手です。
 
 
今週の動画
胎子の心臓の話

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