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松本大策のコラム
哺乳子牛の下痢

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2024年9月2日

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 人工哺育では関係ないのですが、哺乳子牛が下痢するときに、お母さんのおっぱいが原因であることがしばしばあります。
 母乳性白痢の原因としては、母牛の初回発情に原因がある場合と、母牛の飼養管理に原因があって乳質が不良になっている場合があります。
 初回発情は、分娩後7~10日で卵巣の回復に伴って起こるものですが、フォールヒートといって、まだ子宮も回復していませんから授精はできません。この時にホルモンバランスが変化することによって、乳質が悪化して子牛が下痢してしまうのです。

 飼養管理に起因する乳質の低下(アルコール不安定乳という状態になります)には、以下のパターンがあります。

・カロリーが足りないと
→ダイエットで脂肪を燃やしてエネルギーを作り出す
 この時、脂肪の不完全燃焼でシンナー入りのミルクになる

・分解性タンパクが多すぎると
→発生するアンモニアが増加して乳にも混入
 しょんべん入りのミルクを飲ませることになる

・濃厚飼料が多すぎると
→ミルクが出過ぎて飲み残しが傷む
 次に飲むときは腐ったミルクになっている

・餌の量(カサ)が足りないと
→お母さん牛が腹ぺこストレスで、副腎皮質ホルモンが多量に分泌されてミルクに混入し、子牛の免疫が低下する可能

 これらの飼養管理失宜は避けるようにしましょう。後、欧亜付けの哺乳子牛が下痢した際には、シェパードでは母牛にもペニシリンとデキサメサゾンを打ってアルコール不安定乳を改善するようにしています。ただし、この際はお母さん牛が妊娠していないか確認し、妊娠していたらこの処置は避けてください。
 
 

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