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暑熱7 ~暑熱対策成分②~ |
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2024年8月30日
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ただいま台風が通過中です。皆様、身の安全を確保してくださいね。
前回のコラムでは、暑熱対策としての亜鉛とナイアシンの給与に対する効果についてご紹介しました。今回も3つご紹介していきます。
③抗酸化ビタミン類
7月のコラムで、暑熱ストレス下では酸化ストレスが増加することをお話しました。この酸化ストレスを打ち消すために、抗酸化ビタミンの給与が有効に働く場合があります。抗酸化ビタミンは、ビタミンE、ビタミンC、ベータカロテン(ビタミンAの前駆物質)です。これらのビタミンは夏場に増量するとよいです。重要なのは、抗酸化ビタミン単独で給与してもうまく機能しないという点です。抗酸化ビタミンの機能をサポートするために、ミネラル類、特にセレンも一緒に給与しましょう。セレンは抗酸化物質のグルタチオンペルオキシダーゼの構成成分であり、またビタミンEの作用を助ける役割もあります。
④グリセリン(グリセロール)
暑熱環境下で搾乳牛にグリセリンを給与した試験では、ルーメンでの熱産生の抑制、体表面・直腸温度の上昇抑制、呼吸数の上昇抑制など、暑熱ストレスを軽減することが明らかになりました。ウシは生命活動などの体組織の代謝に糖を使う方が、脂肪を使うより代謝熱が少ないことが関与していると考えられています。
⑤ベタイン
ベタインとは、甜菜(砂糖大根)等に多く含まれる天然のアミノ酸誘導体です。ベタインは浸透圧調節物質であること、細胞の水分保持に重要であることから、ベタインを給与すると暑熱ストレス下で細胞の正常な働きを助けます。熱ストレスがかかると、細胞はヒートショックプロテインという細胞を保護する物質を合成しますが、ベタインはその合成を増加させることが報告されています。また、ベタインは浸透圧調節物質であるため、水分の損失や脱水から細胞を保護するのに役立ちます。
今週の動画
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