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松本大策のコラム
「おへその消毒をしないと・・・その2」

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2008年4月21日


 さて、前回お話しした敗血症は、とても怖い病気ですが、他にもおへそから入ったバイ菌で怖い病気が起こります。おへその管は1本は大動脈につながっているというお話しをしましたが、残りの2つの管は子牛の肝臓と膀胱につながっています。これらの管は、子牛が産まれるとすぐにペッチャンコに閉じて円索という名残の器官になるのですが、なかなか管が閉じない子牛もいます。そういう子牛では事故が起こりやすいのです。
 肝臓の方につながっている管にバイ菌が入ると、子牛は生まれて1〜数日で細菌性肝炎を起こします。写真1は、肝円索という臍静脈の名残(右の矢印)と、バイ菌が入って肝炎を起こし胆嚢(左の矢印)も腫れ上がって死んでしまった子牛の写真です。肝炎から腹膜炎を併発していました。
 写真の2は、膀胱へつながる管からバイ菌が入ったと思われる子牛です。膀胱炎から腹膜炎を起こして、腸が癒着を起こして腸閉塞を起こしていました。
 どちらも僕たちの力では助けることが出来なかった子牛たちです。年に何頭か、このような子牛を見るのです。「生まれたときにきちんとおへその消毒をしてあげる」「衛生的な敷きワラを敷いて乾燥した部屋で飼育する」というのは、病気が起こってから助けようとする労力に比べると、ずっと簡単で効果的です。
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