(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
松本大策のコラム
「おへその消毒をしないと・・・その1」

コラム一覧に戻る

2008年4月14日


 今回は子牛のお話です。みなさんも「子牛が産まれたらおへその消毒をしましょう」という話は常々耳にしていると思います。でも、おへその消毒をしないとどのような悪いことが起こるのか、についてはあまり知られていないように思います。
 「バイ菌が入っておへそが腫れるくらいでしょ?」なんて考えてはいませんか?たしかにバイ菌でおへそが腫れるのも困ったモノです。臍帯炎というのですが、重症の場合は切開して膿を出してあげないといけないこともありますし、デベソ(臍ヘルニア)の引き金になることもありますからね。
 でも、じつはもっともっと怖いことが起こるのです。おへそは「胎児(牛さんでは胎仔という事が多いのですが)のころ、おかあさんとつながっていた部分」といいますが、子牛と母牛の胎盤を繋ぐ血管と老廃物を運び出す管(尿膜管といいます)だったのです。胎盤と子牛のどこを繋いでいたかについては、桐野獣医師のコラム(お産の話11と12)に詳しく書いてありますが、簡単にいうと大動脈と肝臓と膀胱です。もしもおへそから入ったバイ菌が大動脈の方へ行ってしまうと、バイ菌が全身に回って子牛が死んでしまう事もあります。こういうバイ菌が血液の中に入って全身に回ってしまう状態を「敗血症」といいます。
|