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戸田克樹のコラム
第451話「抗生剤って何がいいの?③」

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2024年8月1日

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 より多くの菌種に効果があるとされる広域スペクトルと効果があるとされる菌種がそれよりも少ない狭域の2種類がある、という話を前回は紹介しました。菌感染による疾病で病原体が特定されていない場合、どの細菌でも効くように広域のものだけを使用した方がよさそうです。そこで1つの疑問が生じます。それは、

 「広域スペクトルの抗生剤だけあればいいのではないだろうか」

 という考え方です。いろいろな菌に効果があるのであれば、そちらの方がいいように感じます。効果がある菌種が少ない狭域の抗生剤を使用して効果がなかったときには違うタイプを試し、それでもだめならまた次・・・という方法を取らなければいけません。しかし、広域であればそういうケースを避けることができそうです。しかし、そこには「耐性菌の発生を促進させるかもしれない」という大きなデメリットが潜んでいます。

 効果があるとされる菌種においても、抗生剤使用後も生存する菌がある程度います。抗生剤が効く細菌がいなくなれば、今度は生き残った細菌が爆発的に増えていきます。そして、最終的には抗生剤が効かない細菌が体にはびこるという状態になります。耐性菌の選択と、それに続く耐性菌の増殖は抗生剤との接触がトリガーとなるため、その機会が増える広域スペクトルでは耐性菌発生のリスクがより高くなるというわけです。つまり、耐性菌発生の機会を減らすためには可能な限り広域スペクトルの抗生剤の使用は避ける、という考え方を基本とした方がよいのです。


 
 
今週の動画
団子状にして経口投与!

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