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戸田克樹のコラム
第450話「抗生剤って何がいいの?②」

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2024年7月25日

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 牛に注射を打つ機会がある獣医師は、いろいろな病気ごとにある程度投与する薬剤は決まっています。ただ、熱があるときはこれ、下痢だったらこれ、というような考え方にとどまることなく、もう少し踏み込んで考えてみると抗生剤を選ぶのもちょっとおもしろくなってきます。

広域か狭域か
 まず、抗生剤には幅広くいろいろな細菌に効果があるタイプと特定の種類に効果を発揮するタイプの2種類があります。抗生剤の効果が期待できる範囲のことを「スペクトラム(英語)」もしくは「スペクトル(フランス語)」ということばで表現します。たとえば、さまざまな菌種に効果がある抗生剤は広域スペクトラム(スペクトル)、逆に効果がある細菌が限定される抗生剤は狭域スペクトラム(スペクトル)であるといえます。
 広域なものはテトラサイクリン系(OTC、CTCなど)、マクロライド系(ドラクシン、タイラン、ミコチルなど)、アミノグリコシド系(カナマイシンなど)、キノロン系(バイトリル、マルボシルなど)、チアンフェニコール系(ニューフロールなど)といった種類のものが挙げられます。狭域のものはペニシリン系のものが挙げられます。本来は「鼻腔スワブや便検査などによって病原体を特定し、その菌種に対して薬剤感受性を行い、効果が高いと判明した抗生剤を選択する」という方法をとるのが理想です。しかし、臨床の現場ではなかなかそうはいきません。原因菌が特定できないままに抗生剤を投与することが多いため、複数の細菌種に効果がある広域スペクトルな抗生剤を選択する方が無難であるといえます。

 では、狭域な抗生剤は不必要なのでしょうか。決してそのようなことはありません。狭域な抗生剤にはそれ自身の大切さがしっかりとあるのです。それについてはまた次回お伝えします。
 
 
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