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戸田克樹のコラム
第449話「抗生剤って何がいいの?」

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2024年7月18日

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 抗生剤ってよく耳にしますよね?体内で増えてしまった病原菌を倒してくれる薬剤の総称です。いろいろな種類があり、どれを使えばいいか悩む方も多いでしょう。このコラムを読んでくれているあなたもその1人ではないでしょか!私も最初はどれがいいのかまったくわからず(恥)、悩みに悩んでおりました。
 そんなわけで、今回からは「どんなときに何を使えばいいのか」を判断する一助になるコラムをシリーズでお伝えしていきます。たくさん種類がある、ということはそれぞれに強みがあるということです。そして、強みがあれば弱みもあります。それらを総合的に見て、牛に投与する薬剤を決めていきましょう。
 
はじめに
 抗生剤というのは病原体の中でも「細菌」に効果があるものです。ウイルスや寄生虫には効果がありません。カゼをひいて病院にいっても、抗生剤が処方されないのはそのためです。現在の人間が生活している空間は基本的に良好な衛生環境であるため、細菌感染によるカゼはほとんど発生しないと考えられています。もちろん、傷口から雑菌が入った可能性があったり、手術をしたり、血液や患部から細菌が検出されたり、高齢者など免疫力が低下している状態の方が病気になった際は抗生剤を利用します。他の家畜もそうですが、牛の場合は畜舎で管理されていますよね。畜舎の敷料や空間中には細菌が無数にいて、家畜はその中で日々生活しています。そうすると、口や粘膜などから細菌が侵入して感染が成立する機会がどうしても多くなります。私たちよりも細菌感染の機会が非常に多いため、動物の治療には抗生剤を使用するケースが今でも多いのです。人間と動物の住空間における衛生状況の違いから、一般的に抗生剤を使用しない人医療と一般的に抗生剤を使用する獣医療という違いが生じているといえます。
 
 
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