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2024年7月27日

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2025年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)、栃木支所(栃木県那須塩原市)ともに獣医師を募集しております。
詳細はこちらをご覧ください。
随時実習も受け入れております(5年生以上対象)。
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 みなさんこんにちは、またまた3回目のコロナで寝込んでいる松本です。

 よく現場の治療の際に「様子を見てください」とか「後は様子を見ます」という言葉を耳にします。何気なく口にしている言葉でしょうけれど、僕はこの言葉が大嫌いです。
 どうしてかというと、ひとつはなんかいい加減な響きを感じること、もうひとつは治療を中途半端で中止している例がとても多いからです。みなさん、もし敵の中に乗り込んで敵を斬り殺すときに、半分の敵を斬り殺して意気揚々と帰ってしまったら、必ず残りの半分に仕返しされるでしょ?恨みも増して帰って危険な状況に自分を追い込むのです。必ず全員切り倒してこなきゃね。

 治療だって同じです。とくに肺炎の治療を途中で補織り出してあるケースが多いのですが、治まったように見えて放置されることで、すぐ再発して、しかも薬が効きにくくなっていて炎症も進んでいる。それを治療して、また中途半端に放り出して、またさらに状態が悪くなって再発して..。これを繰り返すことで難治性の慢性肺炎でガリガリ子牛のできあがり。こういう症例がいくつもシェパードに持ち込まれます。
 途中で治療を中断すると、いい加減に叩いた細菌が耐性を獲得する可能性が高く、また炎症が長期化すると、組織に繊維素が析出したりして慢性化する事も多いため、問題はその症例だけでなく、牛さん全体に薬の効きにくいバイ菌が悪さをしていくという事態に陥ります。

 こういうことを防ぐために、治療はしっかりと治癒するまで継続してください。また、長期治療をする際は、牛さん自身の免疫や回復力を強化する手助けも考えていきましょう。牛さんは元々強い動物ですが、みなさんは野生状態では考えられないくらいの頭数密度で、ストレスも野生状態よりも強い環境で飼育しているのですから、しっかりとサポートもしてあげましょう。

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