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橋本匠護のコラム
マダニの住みづらい放牧場を

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2024年7月22日

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マダニの住みやすい放牧場は、近くに林がある、蹄耕法による草地、湿潤状態、長丈の雑草地、野生動物が侵入しているなどの条件を満たしていることが多いです。

つまりこれらのポイントを押さえつつ対策をすることで、マダニの住みづらい放牧場にすることができるのです。具体的には、以下の対策が有効であるとされています。

休牧
放牧地を分け、牛を一定期間放牧しないエリアを作ります。基本的にマダニは動物から吸血して発育するため、吸血する牛がいないとやがて餓死します。ただしマダニは飢餓に強いとされているため、年単位での休牧が必要であるとされています。牧草が倒伏したような草地は湿潤環境になりやすいため、休牧しているエリアは採草地として利用すると良いです。

野生動物対策
野生動物は放牧場へマダニを持ち込むことがあります。また前述したように、マダニは動物からの吸血が必要です。牛がいない状況でも、野生動物がいれば吸血して生存してしまうので野生動物の対策も重要です。

草地更新&野焼き
草地更新をすることで、環境がガラッと変わるためマダニの生息数が減少すると言われています。野焼きに関しては、マダニ対策として有効であると記している文献と効果は低いと記している文献があります。

以上の対策と、薬剤による対策を組み合わせることでマダニの生息数を減らすことは可能です。また牛自身のストレスや栄養状態もマダニへの抵抗性へ関与しています。放牧開始時には馴致を十分に行い、エネルギー&蛋白の充足率のチェックも併せて行うと良いです。
 
 
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