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松本大策のコラム
引き続き夏の注意

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2024年7月13日

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2025年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)、栃木支所(栃木県那須塩原市)ともに獣医師を募集しております。
詳細はこちらをご覧ください。
随時実習も受け入れております(5年生以上対象)。
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 先週も熱中症のお話しでしたが、まだまだ暑い日が続きますから、というかこれから本番なので、夏場の危険性についてお話しを続けたいと思います。地球温暖化も進んでいるようですし、今年は秋にかけてラニーニャ現象も起こると言われていて、かなりの猛暑になるようですからね。

 夏場は、気温の上昇によって牛さんの体温も上昇します。普通の気温だと肝臓の酵素が働きやすい体温に保たれているので、体内で発生した毒素を分解することができて疲労回復につながるのですが、牛さんの深部体温が上昇して肝臓の温度が高くなると、解毒酵素の働きが低下するため、毒素が体内に少しずつたまって疲れが抜けなくなります。これが夏バテの正体です。ですから、牛さんをなるべく涼しくしてあげると同時に、強肝剤(パンカルとかリカバリーM)を与えて肝臓の活性を高くしてあげること、肝臓が処理する毒素(大まかに活性酸素、消化管内毒素、乳酸、アンモニア)の分解を助けるために、活性酸素対策としてビタミンEやβカロテン、消化管内毒素を減らすために良質の生菌剤、等を添加して上げることも効果が高いです。

 夏に注意することと言ったら、午後に現れやすい急性肺水腫があります。急性肺水腫になると、ほとんど助からないと言っても過言ではありません。急性肺水腫の原因は第一胃の異常発酵で発生する3メチルインドールです。ですから第一の発酵を護るために良質の生菌剤を与えるとか、きれいな飲み水をあたえるとか給餌時間を一定に守るとかの対策で乗り切りましょう。もちろん夏場にビタミンA欠乏なんてもってのほかです。

 繁殖のお母さんも受胎率が低下する時期です。これはビタミンの消耗が激しくなることと、気温が高いために生殖器の温度が高くなり、精子や卵が弱ること等が原因です。お母さん牛には十分なビタミンやβカロテンを与えると共に、涼しいところに係留するか、人工授精前に水でお母さんの身体を十分に冷やして上げると効果的ですよ。

 

 

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