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戸田克樹のコラム
第447話「AWの観点で牛飼いを考えてみる⑤」

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2024年7月4日

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家畜にとっての恐怖・抑圧(ストレス)とは?その2
 牛が感じるストレスについても考えてみましょう。たとえば母子分離や離乳をしたとき、住環境が変わったとき、群れが変わったとき、他の牛が誤って部屋に入ってきたとき、トラックに乗るとき、などの状況において牛が興奮して吠えたり落ち着きなく歩き回ったりすることがあります。おそらく、こうした「何らかの変化」が起こったときに強いストレスを感じているのではないかと思うのです。この他にも暑熱や過密(部屋の面積に対して頭数が多い状態)なども牛にとってはストレスとなりえます。
 離乳は避けられないイベントですが、代用乳給与であればミルクを切っても数日はお湯や電解質を哺乳させることで吸引欲だけは満たしてあげることができます。住環境の変化についても牛舎の移動回数をなるべく減らしてあげる方がよいですね。群編成については同居牛のメンバーを頻繁に変更しない、継ぎ足し方式(たびたび新規個体を群れに入れるやり方)を取らない、といった方法をとる方がよいです。また、過密にならないよう、1部屋あたりの面積にみあった頭数以上に牛を入れないよう注意することも大切です。これらのようにある程度対策がとれるストレスもありますが、母子分離(離乳)や暑熱によるストレスのようにどうしても避けられないものもあります。これらはストレスそのものをゼロにすることはできないので、他のストレスが同時にかからないようにする、抗ストレス作用のあるビタミン剤の投与や添加を利用するといった方法をとることも大切です。
 
 
今週の動画
四肢エデマ牛に遭遇~エデマってなに?編~

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