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戸田克樹のコラム
第446話「AWの観点で牛飼いを考えてみる④」

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2024年6月27日

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家畜にとっての恐怖・抑圧(ストレス)とは?その1
 5つの自由の最後の項目には「恐怖・抑圧からの自由 (Freedom from Fear and Distress)」というものがあります。牛は犬や猫といった愛玩動物と比べると表情がやや乏しいように感じられます。そのため、快・不快がわかりにくく、さらには痛みや恐怖といった感情を読み取ることも私たちにとっては難しいことがあります。しかし、私たちが感じ取ることが難しいだけで、牛にも感情は存在しており、痛み、恐怖、ストレスなどを感じる心はあるはずです。牛にとって、そうした感情が生じる場面というのはどういう状況かを考えてみましょう
 通常の牛群管理において牛が痛みを感じうる場面というのは、注射、耳標や鼻環の装着、除角、去勢が挙げられます。痛みを与えないためには、こうした作業を行わないのが一番よいのですが、そういうわけにもいきません。痛みを少しでも少なくするためにできることを実施する方が現実的です。注射ひとつとっても、注射針の太さを細いものに変更する、注射以外の治療法を検討する(添加剤や経口薬の利用など)、牛を健康に飼う(これができれば一番いいです‼)といった方法が考えられます。また、除角など強い痛みを受けることが分かっている場合には、かかりつけの獣医師の先生方の協力も必要になりますが、局所麻酔の実施や鎮痛剤を投与するというのもひとつの方法です。
 私たち人間も含めて、痛みというのは強いストレスになります。強いストレスは免疫力の低下や炎症反応の誘発につながり、生産性を低下させる可能性もあります。牛群管理において痛みを与えてしまう作業をゼロにすることは難しいですが、それを少しでも少なくできる対応がとれるのであれば何かひとつでもトライしてみましょう。
 
 
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肩のコリコリ

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