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戸田克樹のコラム
第445話「AWの観点で牛飼いを考えてみる③」

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2024年6月20日

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家畜にとっての自然な行動とは?
 次は、④の自然な行動をする自由 (Freedom to Express Normal Behavior)について考えてみましょう。そもそも自然な行動をとっている牛とは何なのでしょうか。過ごしやすい時季のとある放牧場で過ごす牛をイメージするとよいかもしれません。気ままに歩き、お腹がすいたら青草を食み、喉がかわけば水を飲み、ゆったり座って反芻をし、好きな場所で排泄をし、時がきたら眠る。そんな様子が浮かんできます。とてもうらやましい光景です(笑)。要は「食べる、飲む、休む(反芻する)という行動を自由にストレスなく行えている」という状態が好ましいと考えられるのです。
 逆に、上にあげたような行動ができないときとはどんな状況でしょうか。足場が悪いと「動きたい欲」が削られてじっとする時間が増えてしまうかもしれません。粗飼料が少ないと「噛みたい欲」を満たすことができませんし、飼料が少ないといつまでも空腹感に襲われます。水が汚かったり少なかったりすれば口渇感が絶えません。床が沼のような状態であれば座ることを嫌い、立ち続けるようなこともあります。部屋が狭ければ立ったり座ったりも大変ですし、つなぎ牛舎では歩きまわることもできません。こうした環境では自由な行動が制限されているといえます。自由が制限されることが多ければ、それだけ感じるストレスも多いといえます。もちろん、すべてを家畜ファーストで行うことは難しいですよね。飼槽や水槽をきれいにしておく、床は負荷なく歩けるような状態を維持しておく、など、できることをひとつずつ継続して実践していくことが大切です。実践可能なものに限られてしまいますが、それでも家畜の幸福度を少し上げることができるものがひとつでもあれば、ぜひ取り組んでみましょう。


 
 
今週の動画
尿路結石

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