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生まれながらの耳垂れ |
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2024年6月12日
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生まれながらにして、マイコプラズマ性中耳炎のような「耳垂れ」「重い瞼」の症状を示す子牛に2頭出会いました。

片側の瞼が腫れ、まばたきができず、同じ側の耳が力なく下がっていました。顔面神経麻痺のような症状です。
1頭目のときは体型も大きく、難産による顔面浮腫が原因で神経を圧迫し、瞼の腫れと耳垂れを起こしているのだろうと考え、神経賦活の処置を行いました。デキサメサゾンによる浮腫の除去と、ビタミンB1, B6, B12による神経修復を目的とした処置です。
しかし2週間程経過を見ても、結果としては瞼の腫れが引いた程度で、耳垂れはなかなか改善傾向に行かず経過観察としてしまいました。

その後また、同じ農場でまったく同じ症状の子牛が生まれてきました。
今度こそ!とデキサメサゾンとビタミンB群による神経賦活処置を1週間やってみましたが、やはり改善はみられず。
次の手として、マイコプラズマと同じように中耳炎を起こしている可能性を考え、中耳洗浄をやってみました。するとなんと数日で耳が上がってきてくれました!
瞼の腫れは残ったままだったので、その後は点眼をしてみましたが、これではあまり変化はみられませんでした。

胎児期の中耳は羊水で満たされていますが、分娩後に空気に置き換わるようになっています。しかし今回は、難産の浮腫からの顔面麻痺がきっかけとなり、中耳に羊水が溜まったまま排出されなかったのかもしれません。
片耳の下垂にはやはり中耳洗浄の効果があるようです。ただし中耳は神経の集まる繊細な場所なので、中耳洗浄は獣医師と相談の上慎重に行ってくださいね。
今週の動画
肥育牛の鼓脹症
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