(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第442話「牛飼いは個人戦?チーム戦?」

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2024年5月30日

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2025年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)、栃木支所(栃木県那須塩原市)ともに獣医師を募集しております。
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随時実習も受け入れております(5年生以上対象)。
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 日本獣医師会雑誌に昨年度の獣医師国家試験の結果が掲載されていました。
 全体と各大学の受験者数、合格者数、合格率がそれぞれ表で示してあり、合格率トップ3は鳥取大学(97.1%)、岐阜大学(96.6%)、宮崎大学(92.6%)、となっていました。国公立系は受験者数が30~40人程度と少ないのですが、鳥取大学は35人中34人が合格という脅威の結果となっていました。
 ところで、表を見ると「既卒」の合格率が新卒のそれに比べて大きく低くなっています(今回の合格率は新卒が84.4%に対し、既卒が39.4%となっています)。実はこれ、毎年の傾向なのです。新卒、というのは卒業予定者のことで、既卒はすでに大学を卒業した受験者を指します(国家試験自体が大学の卒業式前に実施されるため、新卒扱いの受験者は卒業見込みの状態で受験します)。1年間を試験勉強に充てられる既卒者に比べて、勉強期間が短い新卒側の方が不利な気がしますが、実際はその逆です。不思議ですよね。
 試験を受けるのは自分ひとり。しかし、受験は団体戦だ!と巷ではよく言われますよね。そこには「1人で勉強を続ける」ことの困難さが示されているように思います。周りが勉強している、だから勉強する。周りに仲間がいる、だから頑張れる。そんな感情面の影響が試験には大きく影響するように思うのです。それだけでなく、他の人がやっている勉強法をまねたり、友達がまとめてくれた資料をもらったりして効率よく勉強することもできるでしょう。
 試験勉強と聞くと、自分1人でがんばるしかない孤独な戦いのようにも見えますが、第三者の協力があるとうまくいき、結果もきちんとついてくる世界のようです。牛飼いも獣医業も同じような気がします。牛にエサを与えるのも、病気の牛を治療するのも「私」という個人なのですが、「誰か」の技術、知識、情報、そして共に働くスタッフとの協力などが積み重なって、よりよい牛づくりや治療法を知り実践することができるはずです。国家試験の結果を見つめながらそんなことを思った今日このごろなのでした。
 
 
今週の動画
【母乳性白痢】その原因とは

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