(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第441話「ちょっとだけ疑う心」

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2024年5月23日

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 臨床検査って難しい・・・そう思うケースが時には発生します。
 肝炎を疑ったのに血液検査で肝臓の数値が正常範囲内だった場合、呼吸器病の激しい流行が見られたのでRSウイルス感染を疑うも簡易検査の結果は陰性だった場合、牛伝染性リンパ腫を疑ったのに白血球数が正常範囲内で異型リンパ球も見られなかった場合、などなど・・・。検査結果が予想と異なる事例というものに稀に遭遇してしまいます。
 検査は大事!それはもちろんです。調子が悪い原因を特定するために血液検査や牛伝染性リンパ腫の抗体検査、顕微鏡検査(糞便や血液塗抹)、簡易検査キットを用いた糞便や鼻水の検査は積極的に行うようにしています。そうした検査で確定診断をつけていくのですが、ときには「予想していたのと結果が違う・・・」というケースが生じます。そんなときは「違ったのか」と検査結果を信用して違う可能性を考えることは当然のことなのですが、その一方で頭の片隅に最初に疑った病気をうっすらと残しておくことも大切です。
 稀に、1週間ほど空けて再検査したらやっぱり肝臓の数値が高くなっていた、呼吸器病の拡大がとまらず別な個体で検査してみたらRSウイルスが陽性だった、白血球数は低かったけど屠場でBL陽性牛として全廃棄になった、というようなケースも発生します。もちろん頻繁に起こることではありません。しかし、検査というものは「その時の状態を示す指標のひとつ」であることも事実です。時間が経てば変わるものですし、検出できるほどに病原体が増えていない時期だっただけの可能性も十分にあります。気になったら再検査してみる、別な牛を検査してみる、といったような考え方も大切です。
 ※疑いが晴れないからといって検査結果を疑い続けないように注意しましょう(笑)。
 
 
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