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池田哲平のコラム
牛の解剖101:膀胱(3)

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2012年5月25日

 では膀胱はどれくらいまで大きくなるのか?

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 左の写真は、重度の膣脱によって膣壁が破れて、そこから膀胱が体外に出てしまった母牛の写真です。膀胱脱したことによって尿道が捻じれる様に狭窄してしまい、おしっこが出なくなってしまっていました。これを見ると、バスケットボールほどの大きさになっている事が分かります。これ程までに膀胱は大きくなるのかと非常に驚きました。針を刺しておしっこを抜いた後はぺったんこに小さくなりました。

 また右の写真は、尿石症による尿閉を起こしていた出荷間近の肥育牛の膀胱をと畜場で見たものです。こちらは直腸検査で膀胱の拡張が非常に重度だと判断して緊急出荷したのですが、先に紹介した母牛の膀胱よりは小さかったです。しかし、食欲は全くなく座った状態からほとんど起きようともしないくらい腹痛がひどかったので、あと一晩していれば膀胱は破裂していた可能性が高かったと思います。膀胱内部にも結石がじゃらじゃらでした。

 膀胱がどこまで大きくなるのかという具体的な記述は見た事はありませんが、少なくとも今回紹介した症例くらいまでは拡張する様です。

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