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松本大策のコラム
今年も暑い夏が...

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2024年5月11日

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2025年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)、栃木支所(栃木県那須塩原市)ともに獣医師を募集しております。
詳細はこちらをご覧ください。
随時実習も受け入れております(5年生以上対象)。
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 前回もお話ししましたが、気象庁の長期予報でも「地球温暖化や終息に向かうエルニーニョ現象の影響により、全球で大気全体の温度がかなり高いでしょう。」という予報が出ています。
 実際、昨日、一昨日とも急性肺水腫による呼吸困難の対処依頼が来ました。

↑急性肺水腫による呼吸困難

 巡回していても、ミスト装置が結構傷んでいる農場、断熱材が剥がれている農場、寒冷紗が破れてしまっている農場などを見かけます。本格的な暑さが来ないとなかなか動かないのが人間の性ですが、昨今寒さが緩んだと思うとすぐに強烈な暑さが襲う様になっています。暑熱対策は待ったなしと考えてすぐに動きだしましょう。いつやっても労力とコストはかかるものですし、本格的な暑さに襲われてから動いても、資材がなかなか手に入らない事態も考えられます。

 それから、熱中症の中で最も危険な症状の一つである急性肺水腫への、牛さんの内面からの対策もやっておきましょう。急性肺水腫の原因は、暑熱により心機能が低下して、肺の毛細血管から水分がにじみ出すことのほか、暑熱感作でたいないのビタミンAが不足し、第一胃の粘膜の機能低下を起こすとことによる以上発酵の結果、第一胃内で3‘メチルインドールという物質ができ、それが血管の水分透過性を挙げるために肺で水腫を起こすと考えられています。

 急性肺水腫は、夏の午後から夕方にかけて発生しますが、現在の日本の行政では「畜産保護」を掲げながら、午後からの土地には翌日回し、というていたらくな対応しかしていません。まず100%死ぬでしょう。
 これを防ぐためには、本格的な暑さが襲う前にビタミンAおよび亜鉛の補給を行っておくことです。いまだに「ビタミンAコントロール」などを考えている人もいますが、現場における1,000頭の投与試験で、肉質に関係ないという結果が出ているのです。逆に急性肺水腫が1頭出たときの損失を補填するために、どれだけの牛で補えるのか?と考えてみてください。
 夏前にビタミンA 100~150万単位とパンカル注10mlの注射およびドン八ヶ岳の50g×10日間添加をお勧めします。
 
 
今週の動画
先天性屈腱短縮で前膝が伸びなかった子牛

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