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加地永理奈のコラム
ゲノム検査について勉強会②

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2024年5月1日

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乳牛用のゲノム検査「クラリファイドプラス」について、ゾエティス・ジャパンの長谷川太一先生が講義してくださった内容の続きです。

ゲノム検査が行われる目的として日本で一番多いのは、「後継牛を生産する母牛を選別するため」だそうです。
農場内で一番成績の良い母牛と優秀な種雄牛をかけあわせても、必ずしもそれが遺伝するとは限りません。それは英語がペラペラの両親から必ず英語ペラペラの子供が生まれるわけではないのと同じだと例えられていました。
つまり乳牛の成績を決める性質には、子に遺伝するものと遺伝しないものの両方があります。そこで候補母牛のゲノム検査を実施すると、乳量や乳質、健康など、子に遺伝する能力が、総合してどれほど高いか数値でわかるようになります。

では、今農場で成績の良い母牛だけ数頭ずつ検査していけば良いか?と質問したところ、端的に言えばその答えはNOでした。
ピックアップした母牛のゲノム検査結果が、たとえば「DWP$ +300」とわかっても、それがはたして牛群内で高い方なのか低い方なのか、良し悪しがわからないためです。さらに言えば、今成績の良い母牛は、年齢も高く血統も古いかもしれません。
基本的には年齢が若ければ若いほど、改良の進んだ種がかけあわされて、ハイゲノムの牛になっているはずです。そのため、今一番若い育成牛だけは全頭検査し、①まずはそのゲノム結果の平均値を現状として把握すること、②そしてゲノム結果の高い牛から順に選抜すること、③平均値を下げている下位25%に当たる牛は減らしていくこと、これを繰り返していくことが、ゲノム検査を使った牛群改良の方法になります。

つづく
 
 
今週の動画
【下痢】哺乳期子牛の下痢の原因(食事性下痢)

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