2024年4月19日 **************************************** BVDのお話の途中ですが、本日はウシの「耳」についてお話します。 「耳」には外耳、中耳、内耳があります。鼓膜までを外耳、耳小骨という音を増幅させる骨がある空間を中耳、そして音を感じ取る蝸牛と平衡感覚をつかさどる前庭・三半規管からなる部分を内耳と言います。 中耳の腔所を鼓室といい、ウシには「鼓室胞」と呼ばれる特徴的な構造があります。鼓室胞は、中耳にあるぽこっとした部分です。この部分はただの空間ではなく、薄い骨でできたひだが内腔に向かって多数伸びています。中耳炎を発症し、耳介下垂を呈する子牛では鼓室・鼓室胞に膿がびっしりと詰まっていることがあります。特に鼓室胞に膿がたまると、健康なウシで認められる骨のひだが溶けてしまうこともあります。多数の神経が鼓室胞に沿って走行していますので、鼓室胞が溶けたりすると、障害を及ぼす可能性があります。 また、中耳からさらに奥へ進むと内耳があり、この領域には神経が多数存在します。そのため、中耳炎に起因する炎症が周囲へ波及したり、物理的な圧迫によって神経が傷害されると、耳介下垂や顔面麻痺、斜頸といった神経症状が出るのです。 中耳炎の主な治療は抗菌薬の全身投与ですが、あまりにも膿による圧迫がひどく、排膿しないような症例に対しては中耳洗浄を行うこともあります。ぜひYoutubeを見てみてくださいね。 |