(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
藤﨑ひな子のコラム
BVDV②

コラム一覧に戻る

2024年4月12日

****************************************
2025年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)、栃木支所(栃木県那須塩原市)ともに獣医師を募集しております。
詳細はこちらをご覧ください。
随時実習も受け入れております(5年生以上対象)。
****************************************
 
 新年度が始まり10日以上たちましたが、新しい生活には慣れましたでしょうか。私は1日の寒暖差に慣れずにいます。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。

 前回のコラムでは、牛ウイルス性下痢(BDV)についてお話しました。そして、BVDで最も問題となるのは、ウイルスを排出し続けるPI牛であることもお伝えしました。
 今回のコラムでは、どのように予防・対策すればよいかについてお話します。

 まず、予防についてです。ここでいう予防は、PI牛を産生しないための予防をいいます。予防法として、BVDのワクチンを接種することが第一です。また、出生牛や導入牛、可能であれば農場全ての牛の抗原検査は、早期摘発に重要です。検査で陰性となった牛はその後PI牛となることはありません。抗原陽性牛は、PI牛であるかを確認するために3週間以上間隔をあけて再検査をします。

 PI牛を摘発した場合、どのようにすればよいでしょう?PI牛は治療法がありません。そのため、摘発されたPI牛は、淘汰が推奨されます。なぜなら、PI牛が、いわゆる「治る」ことはないからです。一見その牛自体は健康に見えるかもしれませんが、一生涯唾液や鼻水、糞便にウイルスを多量に排出します。そのため、PI牛であると判明したらできるだけ早く淘汰を検討しましょう。
 とはいっても、すぐに淘汰できない場合もあると思います。その場合は「隔離」し、他の牛との接触を防ぎます。特に、妊娠牛とPI牛が接触してしまうとPI牛が生まれてしまう可能性があるので、妊娠牛との接触を特に注意しましょう。
 さらに、繁殖農家さん、一貫農家さんは、PI牛が摘発された場合はそれ以降分娩される子牛がPI牛であるかどうかの検査をしましょう。

 BVDで問題となるPI牛は、治療法がなく淘汰が推奨されます。皆さんの大切な牛が、一見健康であるのに淘汰しなければならないとなると、抵抗があるのではないでしょうか。このようなことがないよう、ワクチンや定期的な検査によって予防・早期摘発を徹底しましょう。
 
 
今週の動画
マイコプラズマ性中耳炎治療のための中耳洗浄

|