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藤﨑ひな子のコラム
BVDV①

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2024年4月5日

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 今週、来週は入社・入学シーズンとなっているようです。みなさん、おめでとうございます。私も新年度なので、気持ち新たに生活したいと思います。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

 今回のコラムでは、「BVD」という病気についてお話します。

 BVDとは、牛ウイルス性下痢のことで、牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)が感染することで起こる感染症です。後ほど述べますが、ウイルスが変異し粘膜病(MD)を引き起こすこともあるため、BVD-MD、牛ウイルス性下痢・粘膜病ともいいます。牛がBVDVに感染すると、下痢症や呼吸器症状、異常産等を引き起こしますが、明瞭な症状を示さない場合もあります。多くは一過性の感染で免疫を獲得し回復しますが、妊娠初期の母牛に感染した場合が問題となります。

 妊娠牛が感染すると、子宮内感染によって胎仔もBVDVに暴露されます。胎仔が免疫形成前にBVDVに感染すると、その牛はBVDVに対して「免疫寛容状態」といって、体内にBVDVがいても攻撃しない(抗体が作られない)、持続感染(PI)牛となってしまいます。PI(ピーアイ)牛自身は発育不良以外に顕著な症状を示しませんが、体内でウイルスは存在し続けるため大量のウイルスを排泄し感染源となったり、PI牛が妊娠すると子もPI牛となりますのでPI牛の巣窟となったりしてしまうのです。

 また、BVDVには細胞病原性(CP)と非細胞病原性(NCP)という二つの生物型があります。野外で流行するウイルスはほとんどがNCPですが、PI牛では体内での突然変異などによってNCPがCPに変異し、粘膜病を発症します。粘膜病を発症したウシは褐色泥状水溶性下痢や発熱、起立不能を呈し、死亡します。

 このように、BVDVは妊娠牛が感染するとかなり厄介な病気なのです。そのため、BVDワクチンを接種することや導入牛の着地検査(農場に入れる前にPI牛でないか確認する)が重要になるのです。
 
 
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