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戸田克樹のコラム
第436話「涎まみれがいいじゃない①」

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2024年4月18日

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 近ごろ巷では「チビチビ哺乳」なるものが流行しています。セミナーや畜産関係の雑誌で取り上げられるテーマにもなっており、情報を見聞きする機会はかなり増えてきました。人工哺育で子牛を管理する場合にミルクが少量ずつしか出てこないニップル(哺乳乳首)を使用して「ミルクをゆっくりと飲んでもらおう」という考え方です。
 人工哺乳で管理されている子牛たちは、飲みたいときにミルクを飲むことができません。そのせいか、ミルクの時間になると腹から声を出してミルクを要求します。そして、空腹感や強い飲乳欲にまかせて2L~3L程度のミルクをほんの数分で飲んでしまい、それでも満たされずに後はずっとニップルを吸い続けるという光景がよく見られます

 しかし、こうした急速飲みにはデメリットが多いのです。まずは誤嚥です。ミルクを飲むという行為は「乳首を吸いながら飲む」という複雑なものです。そして飲みながらもタイミングをみて呼吸をしないといけません。通常は嚥下反射によって飲み込むときに喉頭蓋が気管に蓋をしてくれるので気管に液体が入ることはありません。しかし、一度に多量のミルクが口の中に入ってしまうと、嚥下反射が間に合わず誤って気管にミルクが入ってしまうことがあります。これは特に人為的もしくは劣化によりニップルの穴が開いているときに発生リスクが高まります。経時的にニップルの開口部は開いていきますので、定期的に硬さや穴のチェック、細目に新品に交換するといった対応が必要です。

■ 新旧ニップル比較(右が古い方)

つづく
 
 
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