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加地永理奈のコラム
『初産の乳牛には和牛』ではなくなった

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2024年4月17日

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体内採卵やOPUで作成された和牛の受精卵は、和牛繁殖農家さんだけでなく、酪農家さんでも広く使用されています。
その目的は和牛子牛の価値もありますが、「和牛は小さく生まれやすく難産、死産になりにくい」とされていたためです。
体型が大きく成長しきっていない段階での初産で、過大児による難産リスクは避けたいものです。
しかし最近では、初産のホルスタイン種にホルスタイン種を種付けする方が、和牛を種付けして交雑種(F1)を分娩させるよりも難産になりにくいことがわかりました。

日本農業新聞さんの記事リンク
https://www.agrinews.co.jp/news/index/220547

家畜改良センターさんが、2004年以降のホルスタイン種の雄・雌、交雑産子の雄・雌それぞれの難産率を分析した結果が記事になっています。
分析を開始した2004年当時は、ホル雄の難産率が13%と最も高く、次いでホル雌が8.1%、交雑種の難産率は雌雄とも5%以下でした。
しかし直近の2023年には、ホル雄が3.9%、ホル雌が2.4%に下がった一方で、交雑種は雄6.3%、雌3.8%と横ばいであったため、「ホルスタイン種と黒毛和種どちらを種付けしても難産率は変わらない、むしろホル雌の難産率が一番低い」という結果になっています。

OPUやゲノム検査など品種改良技術が向上し、和牛では枝肉重量のために出生子牛の大型化、ホルスタインでは難産率を下げるために在胎期間の短縮化と出生子牛の小型化が進みました。
和牛の大型化の影響はもちろん和牛の繁殖母牛への影響も大きく、初産の母牛に何の種をつけるか問題が発生しているようです。小耳に挟んだ情報では、「百合美」「知恵久」が初産の種付け候補として人気だとか。最近人気の「北美津久」は田尻系ではありますが、生まれは大きいとのことです。
 
 
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