(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
橋本匠護のコラム
どうする後産!

コラム一覧に戻る

2024年4月8日

****************************************
2025年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)、栃木支所(栃木県那須塩原市)ともに獣医師を募集しております。
詳細はこちらをご覧ください。
随時実習も受け入れております(5年生以上対象)。
****************************************
 
皆様、分娩後の後産(胎盤)はどうされていますでしょうか。胎盤はタンパク質が豊富でミネラルなども含んでいるため、高栄養価であると言われています。ブタでは胎盤摂取により、血液や乳成分が変化するそうです。

牛も後産を食べることが多いですが、「後産は取り除く」という農家さんが多いような気がします。往診先の後産を取り除く農家さんに聞いたところ、以下のような理由が多かったです。

■ 食べて食道につまるかもしれないから
■ 食滞になるかもしれないから
■ 野生動物が寄ってくるかもしれないから
■ 牛がスリップするかもしれないから
■ 異臭の原因になるから など

私はまだ胎盤摂取が原因の食滞など見たことはありませんが、野生動物などの問題は重要ですよね。ときおり生まれたての子牛が、野生動物に狙われた話を聞くことがあります。

さらに乳牛においては、胎盤摂取の影響について調べた報告があります。

“乳牛における分娩後の胎盤摂取が泌乳初期の採食量,採食行動および乳生産に及ぼす影響“

この報告によると胎盤摂取した乳牛において、採食パターンの変化と、血中総ケトンおよびNEFA濃度の低値が確認されたそうです。しかし採食量や乳生産量においては、胎盤摂取の影響はなかったようです。

おそらく黒毛和種繁殖牛においても、胎盤摂取は何らかの影響を与えていると考えられます。一方で胎盤を放置することのデメリットも存在するので、状況に応じて取り除いてあげると安心なのかなと思います。
 
 
今週の動画
床ずれ

|