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蓮沼浩のコラム
第773話:メスの刃の取り換え

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2024年4月2日

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小生、昔から体は丈夫な方で風邪や病気にかかったことはほとんどありません。
しかし病気はあまりしないのですが、結構怪我をすることがあります。

無事之名馬(ぶじこれめいば)という言葉があります。

競走馬の世界では「能力が多少劣っていても、怪我無く無事に走り続ける馬は名馬である」とする考え方になります。小生も無事之名馬を大切にして、体調管理などに気を付けながら日々仕事に取り組んでいます。やはり日々の生活習慣は非常に大切です。ただし、怪我の方は本当に注意しないといけません。

右アキレス腱断裂、母指MP関節尺側側副靭帯断裂、右中足骨骨折、数々の打撲傷etc.
とにかく気を付けているのですが、怪我は一瞬です。油断だけはいけません。

先日夜中のお産で難産。胎子過大で経腟分娩ギリギリ。そこで陰部切開をガッツリ行い無事娩出。術後管理も母牛が結構ダメージを受けていたので丁寧に行います。すると、当然時間がかかり帰宅は深夜遅く。

朝に事務所で眠い目をこすりながら昨晩の手術道具を洗っていると、ふとメスが目に入りました。おもむろにとって、メスの刃を手で外そうとした瞬間!!!

何を思ったが力の入れ方がおかしかったので右手薬指をザックリと3cm近く切ってしまいました。

スパ~~~~~~と切れました。

皮が切れて、皮下織がきれいに見えました。

「お!きれいに切れたね~~!血もあまり出ないじゃないか!!」と思った瞬間ボタボタ血があふれてきました。

すぐに診療車にある消毒薬で軽く消毒し、創面をきれいに合わせて圧迫止血しながらテンソプラストにて固定。一次癒合(いちじゆごう)を目指して速やかに対処したおかげで、1週間後には写真のようにきれいになおりました。

今まで小生はメスの刃をメスホルダーから手で外していました。しかし、怪我をする前日にたまたま牛の臨床外科学(第12回)の記事を読んでいて、メスの刃についての記事が目についていました。そこには「事故を防ぐため取り付けや取り外しは手でなく鉗子や把針器を使用して行う」と図入りで紹介されていました。

記事を読んでフムフムとうなずいていたのだから、すぐにやり方変えりゃあいいのに。

やはり、人間は痛い目を見ないと変わることはなかなかできません。痛い目を見ても変わることは非常に難しいですが・・・。

小生、今度から必ずメスの刃は鉗子で取り外しをするようにします。

皆さんも怪我には十分注意してくださいね!!
 
 
今週の動画
【下痢】哺乳期子牛の下痢の原因(感染性下痢)

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