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松本大策のコラム
生産性を阻害する要因(病気)を抑える(8-4)

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2012年5月21日

- 第8章 下痢について考える その4- コクシジウムのお話し(2)

 コクシジウムというのは「原虫」という寄生虫の仲間です。寄生虫は、他に乳頭糞線虫やオステルターグ胃虫などの仲間の「線虫」や肝蛭などの「ぜん虫」などがあり、それぞれに効果がある薬が違います。

 そして、ここが重要なのですが、線虫とコクシジウムなどの原虫は、縄張り争いをしています。つまりどちらかが弱ると、もう片方が活発になってしまう事が多いのです。具体的に言うと、アイボメックやエコメクチンなどの線虫駆除剤(イベルメクチン系駆虫剤といいます)を「単独で」使用すると「線虫」だけを駆除するので、コクシジウムがかえって活発になってしうまうことがままあるのです。鹿児島大学のチームでイベルメクチン系駆虫剤の試験をした際にも、単独使用ではコクシジウムが爆発的に増えてしまうという結果が数件確認されています。

 そこで、シェパードではイベルメクチン系駆虫剤を使用する際は、必ずコクシジウムの駆除も同時に実施するように指導しているのです。

 子牛には、イベルメクチン系駆虫薬と、バイコックスの併用、母牛や肥育導入牛では、イベルメクチン系駆虫薬とエクテシン液の併用、といった感じです。

 コクシジウムにはサルファ剤なら有効なのに、なぜダイメトンS散やジメトキサンではなくエクテシン液をおすすめするか?については次週お話しします。

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