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加地永理奈のコラム
子牛の肋骨骨折の再発を防ぐ

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2024年3月13日

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先日、農場の繁殖担当のスタッフさんと松本先生と小さな勉強会を行いました。

この勉強会が開かれたきっかけは、子牛の肋骨骨折です。
産まれてきた子牛の呼吸が荒いときは、まず肋骨が折れていないかを確認します。
この農場では、肋骨骨折の発生頻度が100頭に2頭くらいの割合だったものが、ここ最近では100頭のうち8頭の割合に増加し、低体温から死亡してしまうケースも発生しました。

肋骨骨折は、子牛が産道を通過する際に胸部が圧迫されるために起こることがほとんどです。子牛が大きかったり、産道が開ききっていないうちに牽引したりすると、柔らかい子牛の骨は簡単に折れてしまいます。
他には、産まれた後に親牛に踏まれた場合や、ハッチに移動する際の負傷も考えられますが、今回は分娩介助の手順を1つずつ確認して、再発防止に繋げられる策を一緒に考えてみました。

相談の結果、今回決まった改善案は以下の通りです。

① 破水前の産道確認をやめる
これまでは1次破水2次破水が起きる前に数回、胎子の向きを確認して正常位かどうかの確認をしていました。
胎子の確認は、分娩介助が必要か知るための大切な手順ですが、破水前に産道を刺激すると、産道が開くより早い段階で陣痛と子宮収縮を促してしまうことが考えられます。
そのため、胎子の確認は破水後に行うことにしました。

② 産道が狭いときはマッサージをする
分娩介助が必要なとき、エストリオール(ホーリン)やエストラジオール、クレンブテロール(プラニパート)といった薬品を使用しながら体位整復を行っていました。
しかし薬品の効果が出るまでにはタイムラグが出てしまうため、まずは産道を手で広げるようにマッサージすることをお願いしました。
マッサージだけでも十分に産道は開きます。松本先生の動画もぜひ参考にご覧ください。

③ 遠慮なく獣医師に相談する
時間が経っても分娩が進まない、子牛の体位がわからないなど、困ったときはすぐにご相談ください。一緒に解決しましょう。
 
 
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