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橋本匠護のコラム
腹が減ってはなんとやら

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2024年3月11日

先日、なかなかスターターを食べてくれないハッチの哺乳子牛に遭遇しました。農家さんによると、「同じ月齢の子牛たちはガツガツ食べているのに、この子は食べてくれない・・・。」とのことでした。

第四胃炎などの病的な原因で食べてくれない子牛であれば、治療により食欲改善が見込めます。しかし原因が病的でない場合、そうはいきません。そんな時は、口にスターターを入れて味になれさせてみたり、温かい水を設置してあげたり、バケツを浅くしてあげたりすると食べてくれることがあります。ですが今回の子牛は、それでも食べてくれませんでした。

そこで、農家さんに「運動させてみませんか?」と提案してみました。この子牛はハッチで飼養されており、適度な運動がいい影響を及ぼすかもしれないと考えたためです。ありがたいことに、すぐに「朝夕でハッチの外で出してみます!」と言っていただきました!

翌日牛舎に伺うと、例の子牛がスターターをムシャムシャ食べているではないですか・・・!

ヒトでは、運動と食欲に関して研究が進んでいます。その中で、45分間有酸素運動する条件と同じ時間休憩する条件下で、食欲変化を比較する実験があります。この実験によると、運動させた条件において食欲がより大きく亢進したそうです。
(逆に運動負荷が食欲を低下させるという報告もあります。)

もちろん個体差はあると思いますが、適度な運動はスターター摂取に良い影響を及ぼすのかもしれません。腹が減っては、なんとやらですね!
 
 
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