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藤﨑ひな子のコラム
感度・特異度

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2024年3月1日

 今週は突然の大雨や雷が鳴り響くことが多いですね。傘の準備をいつも忘れてしまいます。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

 前回のコラムでは、偽陽性や偽陰性といった検査系の落とし穴についてお話しました。今回のコラムでは、検査はどのように精度が担保されているかについてお話します。

 「感度」と「特異度」の主にこの2つによってその検査系の特性が判断できます。
 感染症の検査について考えましょう。
 表をご覧ください。これは、感染症の感染/非感染があらかじめわかっている集団を検査した時に、陽性/陰性となった個体をそれぞれ表しています。

 感度とは、感染個体を正しく「感染」と判断できる割合で、計算式は A/(A+C)となります。
 特異度とは、非感染個体を正しく「非感染」と判断できる割合で、計算式は D/(B+D)となります。

 感度が高い検査というのは、偽陰性(C)が少ない検査と同義であり、このような検査系は検査結果が陰性の時に威力を発揮します。つまり、この検査で陰性であればその病原体に 感染している確率は非常に小さい、と言うことができ、除外診断に有用です。
 一方、特異度が高い検査というのは、偽陽性(B)が少ない検査と同義であり、このような検査系は検査結果が陽性の時に威力を発揮します。つまり、この検査で陽性であればその病原体に感染している確率が非常に高い、と言うことができ、確定診断に有用です。

 このように、感度と特異度は検査系の特性を表します。理想的な検査系は感度・特異度ともに100%ですが、実際には感度と特異度はどちらかが高くなればどちらかが低くなる、というようにシーソーのような関係なのです。

 実際に検査を立ち上げるときは、「ROC曲線」を描き偽陰性と偽陽性というリスクを最小にする「カットオフ値」を設定します。
 次回のコラムでは、カットオフ値についてお話ししようと思います。
 
 
 
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