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非特異反応 |
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2024年2月16日
昨日まで中国物産さんと農場巡回に行ってきました。日々、診療している農家さんとの違いがあったりと、いつも発見が多いです。その話はまた後日させていただければと思います。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
前回のコラムではELISAとPCRの使い分けについてお話しました。コラムの最後に、検査系の落とし穴があると触れました。それは、ELISAなどの抗原抗体反応を測定原理としている測定系における「非特異反応」です。今回のコラムでは、この非特異反応についてお話します。
非特異反応には、本当は陰性なのに陽性という結果が出てしまう「偽陽性」や、本当は陽性なのに陰性となってしまう「偽陰性」があります。理想の検査は、偽陽性や偽陰性が0である検査ですが、残念ながら100%を保証する検査というものはなかなかありません。
このような偽陰性や偽陽性が起こってしまう原因としては、感染後の経過時間や検査の特性(交差性、非特異反応)、サンプルの取り扱いの不備などがあげられます。
感染後の経過時間ですが、これはELISAのコラムでもお話したように、感染した直後はまだ抗体が産生されておらず血清抗体価を測定しても陰性となります。
また、検査の特性として、目的以外の物質を間違って検出してしまい(これを交差性といいます)、本来は目的の物質がないのに陽性となってしまう場合もあります。
最後にサンプルの取り扱いですが、例えばサンプルを採取して検査までの間に時間が経ってしまったり、冷蔵保存ではなく常温で放置してしまったり、凍結融解によって検出したい目的の物質が壊れてしまったりということがあげられます。
このように、様々な原因で誤った検査結果が出てしまうことがあります。ですので、2つの検査系を組み合わせて実施するとより正確な結果を得られるのです。
ただし、検査系としては精度を保証する必要があるため、いくつかの方法で「この検査はこのくらい精度が保証されていますよ」という指標があります。次回のコラムでは、この指標についてお話ししようと思います。
今週の動画
いつも同じ姿勢で寝ていたら
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