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加地永理奈のコラム
尾椎麻酔について

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2024年2月28日

OPUでは直腸の蠕動を止めるために必ず尾椎硬膜外麻酔をしています。その際にいくつか質問をいただきました。

まず注射している薬品について、今OPU前の麻酔では、2%リドカイン100mLに2%キシラジン10mLを予め混ぜたものを、5ml尾椎に注射しています。針は21Gを使っています。

投与量について、牛によっては5mLでは効きすぎてふらつき、中には座り込む子もいます。そういった子は記録して次回から4mLにしたり、体型の小さい未経産牛などは3mLにしたりと、3~5mLの幅で調整するようにしています。
麻酔の効いた母牛がふらついた足取りで群に戻ると、発情の牛に乗っかられたときに心配というご相談もありました。たしかにそれでスリップによる股裂きを引き起こしてしまったら大変です。そういった可能性のある群に戻す母牛の場合には、最初から3~4mLで設定するか、麻酔が切れてから群に戻すのが良いと思います。

麻酔の持続時間については、投与後すぐに効きはじめ、OPU作業中20分間は問題なく麻酔が効いたまま持続しています。帝王切開等の手術でも用いられる麻酔なので、1~2時間は効果が持続するでしょう。いつかOPU後も経過を追って麻酔の効きを観察したいと思います。

またキシラジンについては出荷規制の注意があります。添付文書をよく読むと「食用に供するためにと殺する前2日間」「食用に供するために搾乳する前48時間」の出荷規制が定められています。そのため搾乳牛ではリドカインのみを尾椎麻酔するようにしています。
 
 
 
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