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加地永理奈のコラム
外傷治療に何を塗布するか

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2024年2月21日

切り傷が大きい、出生後の臍帯炎で臍が開いている、褥瘡による皮膚欠損がある、膿が自壊している、除角後の止血がうまくいかなかった、その後化膿している、など、そのまま放置しては綺麗な治癒が期待できない場合、傷口の洗浄後、傷口を乾燥させずに治りを良くするための処置をします。
その時に何を塗布するかベストか、いつも悩みます。

自分の中で一番優先度を高くしているのはキトサン(キトサイドC)です。
キトサンは、カニなど甲殻類の殻の成分であるキチンがもととなった多糖類です。とろみのある液体で、混合飼料として販売されています。
欠損した組織の再生を促す効果が最も高く感じます。しかしキトサンは化膿が酷い場合には使わないようにします。キトサンに抗菌性はありますが、滲出液や膿の量が多いと薄まってしまい、逆に細菌の栄養源になってしまいます。

現場でキトサンを持っていない!となった時は、砂糖をまぶすことで代用します。
人医療では褥瘡治療に「イソジンシュガー」が古くから使われているようです。砂糖は傷に対する湿潤療法としての信頼と実績があるということです。

化膿が心配される場合は、モクタール(蹄病軟膏)を使うようにしています。殺菌効果と抗炎症効果があります。粘度も高く、傷口をピタッと覆ってくれます。

臍帯炎のときは、炎症や化膿の原因となる菌をたたくことが一番の目的なので、ペニシリンをかけるようにしています。

上記の内容は私なりの方法で、傷口に何を塗布するのが良いかはその時々で悩みどころですが、その前に、膿や壊死した組織は取り除き、綺麗なピンク色の新鮮創が見えるようにすることが大切です。
 
 
 
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