2024年2月26日 現代の日本人はパソコンやスマホの影響で、画面を見る機会が多いためドライアイのリスクが高いとされています。ドライアイになると眼の表面の角膜が傷つきやすいそうです。そのため、「ドライアイに効く!」と謳われている目薬なども存在します。 牛も他牛の角や柵にぶつけてしまい、角膜が傷つくことがあります。さらに牛舎には細菌も多く存在するため、多量の眼脂(目やに)を伴う角膜炎となることがあります。つい先日もそんな感じの肥育牛を診ました。片側にて多量の眼脂、眼瞼の腫脹、角膜の混濁を呈しています。 初診時は、感染制御のための抗菌薬と上皮細胞分化に関与するビタミンAの投与、眼洗浄を行いました。第2病日は眼瞼腫脹残存も眼脂は落ち着き、第3病日になると眼瞼腫脹もマシになりました! しかし、まだ角膜混濁で視力は戻っていないようです。このままでも徐々に治癒するかもしれませんが、ここで血清入りの目薬(血清点眼薬)を作成し使ってみました。血液を遠心分離して得られる血清は抗コラゲナーゼ活性をもつため、潰瘍性角膜炎などに有効とされています。 第7病日では、角膜への血管新生(パンヌス)が認められました!いい傾向です。 第22病日になると、角膜混濁も改善し視力もかなり回復しました! もともと視力が弱いとされている牛ですが、見えるのと見えないのでは生活の質(QOL)が変わると思います。めでたしめでたし~。 前の記事 妊娠牛でも炎症を抑えたいんじゃ(非ステロイド編) | 次の記事 デカったま牛さん |