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橋本匠護のコラム
妊娠牛でも炎症を抑えたいんじゃ(非ステロイド編)

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2024年2月19日

前回のコラムでは、ステロイド系抗炎症薬の妊娠牛における使用が流産のリスクがあることを紹介しました。

では、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)はどうでしょうか??NSAIDsはCOXと呼ばれる酵素を阻害することで、炎症に関わるプロスタグランジン等の産生を抑制します。これにより、抗炎症作用を発揮します。

ステロイド系抗炎症薬とはメカニズムが異なり、妊娠牛に投与しても流産や早産のリスクは基本的にありません。ですが、副作用がないわけではありません。

ご存知の方もいらっしゃると思いますがNSAIDsにより抑制されるプロスタグランジンは炎症だけでなく、牛の繁殖と密接に関連しています。このホルモンは黄体退行子宮収縮作用を有し、排卵や分娩においてなくてはならない存在なのです。
そのため、NSAIDs投与により分娩がスムーズに誘起されず、妊娠期間が延長することがラットなどでは確認されています。牛においても、その可能性は十分にあります。


↑添付文書に明記されています!慎重に使用しましょう。

今回は抗炎症薬についてでしたが、他にも妊娠牛に対して慎重に使用するべき薬剤は存在します。ご注意ください~。
 
 
 
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