(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
橋本匠護のコラム
妊娠牛でも炎症を抑えたいんじゃ(ステロイド編)

コラム一覧に戻る

2024年2月5日

肺炎、腸炎、筋炎、関節炎、子宮内膜炎などなど、炎症を伴う疾病は多くあります。炎症性疾患に対して、適切な抗炎症薬の使用は早期治癒につながります。

しかし妊娠牛における抗炎症薬の使用には、少し注意が必要です。妊娠牛特有の副作用が、抗炎症薬の種類に応じて存在するのです・・・。

デキサメタゾンなどのステロイド系抗炎症薬は、強力な抗炎症作用を有します。しかし妊娠牛に使用すると胎盤等に作用し、エストロジェンやプロスタグランジンF2α合成促進により流産や早産を起こすことがあります。つまり、妊娠牛への使用は基本的にNGです。


↑添付文書にも明記されています!

一方で、「妊娠牛にデキサ使ったけど妊娠維持したよ~」という話を聞くことがあります。そうなんです。ステロイド系抗炎症薬による流産は100%起こるものではなく、妊娠早期であれば流産率は低いという報告もあるのです!へ~。(でも、基本は使用NGですよね)

「じゃあ、非ステロイド使えば良いじゃん!」となりますが、非ステロイド系抗炎症薬にも妊娠牛特有の注意点があるのです・・・・。
 
 
 
今週の動画
獣医師にはどうやってなるの?

|