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松本大策のコラム
「夏場は紙袋でとる」

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2008年3月10日


 飼料の値段が上がってきています。そうなると、これまで紙袋(20kg)で取っていた飼料をバラでタンク取りした方が、若干ですが価格が安くなります。しかし、この場合に意外な落とし穴にはまる場合があるのです。
 どういう場合かというと、出荷前のふりかけや子牛のスタータの場合です。これらの飼料は、他の飼料に比べて、1:油脂分が高い、2:使用量が少ない、という特徴があるのです。そうなるとどういうことになるかというと、使用量が少ないのでタンクの中に入っている時間が長く、脂肪分が過酸化脂質という毒物に変質したり、カビが生えたり、腐敗したり、という好ましくない変化を起こしやすいのです。
 過酸化脂質という物質は、いろんな障害を起こすのですが、特に肥育後期のこの物質の摂取量が多いと「ダークカッティング・ビーフ」という肉色の暗色化を起こしてしまいます。また、子牛でも過酸化脂質やカビ毒、腐敗した飼料が原因で下痢が多発するケースが多いのです。以前担当した農場でも、スタータをタンク取りしていたのですが、子牛で下痢や軟便が多発して困っていました。スタータをタンクに入れてから、すべて使い切るまでに3ヶ月ほどかかっていたのです。そこで、スタータだけ紙袋で取って日陰に保存するようにしていただいたところ、下痢・軟便が激減したのです。思い当たる方は、だまされたと思って試してみませんか?
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