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松本大策のコラム
「牛がガスで倒れている? その1」

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2008年3月17日


 先日、熊本でのバーンミーティングの時に「牛が倒れている!」ということでその場に駆けつけました。倒れていたのは、というか正確には起きあがれなくなっていたのは肥育後期の牛さんで、お腹側よりも背中側の敷き料が少なくなっていたためにお腹の方が高くなっていて自力で起きあがることが出来なくなっていたのです。
 じつは、地元でも時々「牛がガスで倒れているから急いで来て!!」という往診依頼を受けることがあります。これも大半が「お腹の方が高いために起きあがれなくなって、そのために第一胃内のガスが排出できなくなったためにお腹が膨れて、さらに状況が悪くなった」というものです。というのも、急性鼓脹症の場合は、第一胃内のガスが貯まって横隔膜を圧迫し、呼吸困難になって倒れるので、倒れた時点で死ぬのが一般的なのです。ですから、「ガスで倒れている」というのは、正確には「起きあがれなくなったためにガスが張った」という状況なのです。ですから、この手の牛さんは起こしてあげるとなんでもなかったかのように正常に戻りますし、ガスも自然に抜けてしまうのです。ところが、ひとくちに「起こしてあげる」といっても、ここがとても難しいんです。コツが解らないと5〜6人いても起こせません。
(つづく)
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