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松本大策のコラム
「牛白血病のお話し その3」

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2008年3月3日


 さて、それでは具体的にどうやったら牛白血病を減らしていくことができるのでしょうか?まず簡単にできるものから並べていきましょう。第一に、よその酪農家さんの凍結初乳を使わない、もしくは、白血病でないと証明されている母牛の初乳しかもらわない、あるいはミーサンのような初乳加温装置で白血病ウイルスを殺菌(正確にはウイルスの場合「不活化」と言います)したものを使う、ということです。そうでなければ、カーフサポートダッシュやヘッドスタートのような粉末初乳を利用した方がずっと安全です。
 実は、これと同じことは繁殖農家さんの母牛にもいえます。実のお母さんであっても、白血病抗体の高い母牛の初乳は飲ませない方が、白血病を防ぐ意味では安全です。これは法律の問題もあってなかなか難しいのですが、本当はすべての母牛の白血病抗体価を測定して、抗体陽性(白血病に感染している)の母牛と、抗体陰性の母牛を5m以上離してアブによる感染を防ぐとか、白血病抗体陽性簿牛の初乳は飲ませない、とかもちろん器具は消毒する(消毒しないで使い回しすると感染させてしまいます)、などの措置を講じることが望ましいのです。
 抗体陽性といっても、まだ発症していない母牛で胎盤感染の可能性はきわめて低いので、実施できればかなり有効な白血病拡大阻止対策になります。
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