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戸田克樹のコラム
第427話「親が子を舐めてくれないとき その②」

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2024年2月15日

 まずは部屋から出てそっと見守ってみよう

 産後に子牛を舐めてくれない母牛はどういう心情なのでしょうか。初産であれば初めてのお産や自分の体から出てきた「何か」にパニックを起こしているか、その状況を理解できずに戸惑っているのかもしれません。また、経産牛であっても、難産の後は気がたって落ち着かない様子を見せることは多々あります。
 そんな環境の中で、分娩室の中に人間や他の牛がいれば、気が散って子牛に集中することができなくなります。ということで、まずは「分娩室の中は親と子だけ」という状態を作ってあげましょう。子牛の様子も気になりますが、攻撃されているわけでなければ牛からある程度の距離をとって遠くから様子を見てあげるか、いっそのこと数分ほど放置してみるのもよいでしょう(ただし、寒冷期は羊水まみれの子牛を放置すると低体温症をおこす危険性が非常に高いので、羊水をふきとったりドライヤーで体を乾かしたりした後にこうした対応をとってあげてください)。

 親牛が子牛を舐めてくれないときは、まず親と子だけの空間をつくって遠くからそっと見守ってあげましょう。

 つづく
 
 
 
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